日別アーカイブ: 2017年10月11日

理系学生の就職活動

理系学生は、「理系は学校推薦があるからいいよね」と文系学生から言われることがある。
彼らには、昨今の学校推薦事情が分からないので反論しないで聞き流そう。

かつて学校推薦が強力だった背景は、大学にとっても企業にとっても、「学生の間は研究をやってほしい」という狙いがあった。
しかし、学校推薦の効力が弱くなり、自由応募での終章活動が増えた分、大学に行かずに就職活動に邁進する学生が急増。
修士課程に行った場合、修士1年の秋から2年の夏にかけて研究室にロクに顔を出さない又は出してもずっとネットで就職活動の情報収集をしている状況になる。
当然、研究室の教授をはじめとするスタッフはいい顔をしない。
すると、「就職活動より研究を優先しろ」と言い出す。
大学の研究室というのは、教育機関であると同時に研究機関である。
研究成果を出すために学生を使ってる。
その学生が就職活動に専念すると、研究成果が出せなくて自分が困るから言っているのだ。
真面目な学生は真に受けて研究を優先した結果、就職活動を優先した学生よりもランクの低いところに内定することになる。
本来なら研究をしっかりやっている学生が報われるべきだとは思うが現実はそうなっていない。
(もちろん、研究も就職活動もソツなくこなす学生もいるが、それは一部の例だ。しかも大抵リア充である。)

日本の就職活動は、新卒重視である。
それが嫌なら外国に行けという話で、既卒で無職になろうものならまともな大手企業には採用されない。
まともな大手企業に入りたいなら、学生の間の就職活動を頑張るのみだ。
仮に、研究を優先して就職活動を手を抜いた結果、しょぼい中小企業にしか内定しなかったとしても、自己責任になる。
むしろ、大学のスタッフは、就職活動をしないで博士課程に進んでほしいと思っている。
博士課程の学生は、もっと使い勝手の良いコマだからだ。
博士課程の学生には、研究関連だけでなく雑用も回ってくる。
さらに言うと、そのまま大学に残ってほしいと思っている。
ポスドクですら厳しい状態ないのに。
すべては、「自分の研究成果を上げたい」という大学側に振り回されて自分が犠牲になる必要はない。