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志望動機を考える その1

面接で必ず聞かれる質問は「志望動機」。
明確な志望動機がある人はこのページはそっ閉じで。

「とにかく大手に入りたい」という考えの人には頭が痛いだろう(自分もそうだった)。
エントリーしようとした時点で何かしら動機があったはずなのに、後から志望動機を考えるという何か変な状態になる。
なぜそんな状態になるかというと、志望動機が「御社が大手だから」。
しかし、そんな本音を言ったら即アウトである。
それが分かっているから、本音を誤魔化すべく志望動機を後付けで考える。
もし、この状態に思い悩んでいるとしても、気にすることはない。
明確な志望動機を持っている人は立派だと認めつつ、「大手だから」という本音を言わない、本音と建て前を使い分けるテクニックが試されていると考えよう。
社会に出れば、本音と建前の使い分けが必要になる場面はたくさんある。
とはいえ、建て前であっても、「自分だけの志望動機」でなければ面接では苦しくなる。
「志望動機」は降って沸いてくるものではなく、「作るもの」だと割り切って「自分だけの志望動機」を考えよう。

就活は先手必勝

大手の採用開始時期はどこも同じ時期に始まる。
終わるのも同じぐらいだ。

大手の採用活動が中盤を迎えた頃から、大手の子会社などの、関連会社が動き出す。
そして、終盤に差し掛かってくると、中小企業が動き出す。
大手の採用活動が終わった頃、ブラック企業と中小企業ばかりになる。

どんな会社から案内が来ているかによって、今、就活のどのフェーズにいるかが分かる。
中小企業から案内が来始めてから焦りだしては手遅れになる。
(ただし、中小企業の場合は、大手が採用活動を始める前に開始しているケースも少なくないが、早い時期に内定を出しても逃げられやすい。)
警戒してほしいのは、案内をしてくる企業のランクが下がってきたなと思った時だと思ってよい。

特に、近年の就職活動では、「大学3年生の3月に説明会解禁」、「大学4年生の6月に採用面接など選考解禁」と、後ろ倒しになっている。
企業も採用活動が長引くとコストがかかる、求めるレベルの内定者が揃わない、などのデメリットがあるので、早いところ質・量ともに内定者を揃えたいと思っている。
6月に面接スタートしても、結果が出るのは早い。
気が付いたら終わってる場合もある。

早めの情報収集と早めの行動。
つい周りの学生の様子を見て行動しがちになる。
周りの学生が動き出してからでは遅いと思ってほしい。

理系学生の就職活動

理系学生は、「理系は学校推薦があるからいいよね」と文系学生から言われることがある。
彼らには、昨今の学校推薦事情が分からないので反論しないで聞き流そう。

かつて学校推薦が強力だった背景は、大学にとっても企業にとっても、「学生の間は研究をやってほしい」という狙いがあった。
しかし、学校推薦の効力が弱くなり、自由応募での終章活動が増えた分、大学に行かずに就職活動に邁進する学生が急増。
修士課程に行った場合、修士1年の秋から2年の夏にかけて研究室にロクに顔を出さない又は出してもずっとネットで就職活動の情報収集をしている状況になる。
当然、研究室の教授をはじめとするスタッフはいい顔をしない。
すると、「就職活動より研究を優先しろ」と言い出す。
大学の研究室というのは、教育機関であると同時に研究機関である。
研究成果を出すために学生を使ってる。
その学生が就職活動に専念すると、研究成果が出せなくて自分が困るから言っているのだ。
真面目な学生は真に受けて研究を優先した結果、就職活動を優先した学生よりもランクの低いところに内定することになる。
本来なら研究をしっかりやっている学生が報われるべきだとは思うが現実はそうなっていない。
(もちろん、研究も就職活動もソツなくこなす学生もいるが、それは一部の例だ。しかも大抵リア充である。)

日本の就職活動は、新卒重視である。
それが嫌なら外国に行けという話で、既卒で無職になろうものならまともな大手企業には採用されない。
まともな大手企業に入りたいなら、学生の間の就職活動を頑張るのみだ。
仮に、研究を優先して就職活動を手を抜いた結果、しょぼい中小企業にしか内定しなかったとしても、自己責任になる。
むしろ、大学のスタッフは、就職活動をしないで博士課程に進んでほしいと思っている。
博士課程の学生は、もっと使い勝手の良いコマだからだ。
博士課程の学生には、研究関連だけでなく雑用も回ってくる。
さらに言うと、そのまま大学に残ってほしいと思っている。
ポスドクですら厳しい状態ないのに。
すべては、「自分の研究成果を上げたい」という大学側に振り回されて自分が犠牲になる必要はない。

理系学生と学校推薦

かつては学校推薦があれば内定確実という時代があった。
今から25年ぐらい前までは。
バブル崩壊後、徐々にその効力は失われ、「学校推薦を持ってくることがエントリーする条件」にまで成り下がった。
もちろんその場合は推薦状を出しても内定が貰える保証はゼロで、そのくせ内定したら必ず入社しなければならないという理不尽なものになっている。
今でも、特定の大学の特定の学科と、特定の企業との間では昔ながらの学校推薦に近いものが残っているが、学校推薦は切り札にはならない。
それなのに、学校推薦があれば・・・と期待する学生がいる。
学校推薦にかけて他社を全く見ないか、ほとんど見ない学生もいる。
学校推薦で内定しなかった場合は悲惨なことになる。
不採用と分かってから別の企業を考え始めても大手の就職活動は終盤になっていることもあり、今まで見向きもしなかったような中小企業が手ぐすね引いて待っている。
そんな風になりたくなければ、「学校推薦に期待しすぎるな。自由応募も並行しろ。」と強く言いたい。
特に、学校推薦がエントリーの条件に過ぎない場合は、自由応募と変わらない。

また学校推薦を使うと、選考の一部をスキップするというケースもある。
3次面接まである場合に、1次面接をスキップして2次面接から、というものである。
これはメリットとは限らない。
なぜならば、学生は、面接を通じてその企業の情報を得る。
仕事や企業のイメージが沸く。
しかし、面接を省略したことで、情報量が少ない状態で上位の面接を受けることになる。
結果的に、自由応募の学生のほうが内定して、学校推薦の学生が不採用になるケースもある。
よって、選考の一部をスキップしたことはメリットではない。

リクルーター

企業によっては、リクルーター制度がある。
リクルーターをやったことがある経験を踏まえて書くと、リクルーターの主な役割は、

1.自社のアピール
2.エントリーから面接までのサポート
3.学生の選別

である。

1.自社のアピール

出身OB・OGが多く、その大学との繋がりが強い企業は、リクルーターを顔つなぎによこす。
リクルーターが来るということは、その企業が、その大学・学科を軽視していないという意思表示にもなる。
また、大企業の場合、事業範囲も広い。
有名な事業とそうでもない事業がある。
有名な事業は放っておいても学生のエントリーが沢山あるが、そうでもない事業は学生や大学側に対して周知しなければならない。
さらに、景気がいいときは学生もいろんな企業を天秤にかける。
自社アピールを怠ると他社に学生を取られてしまう。
以上のような理由から、出身大学に出向き、学生と接触したり、就職担当の教官に挨拶に行ったり、学内で説明会を開催したりする。
学生にとっては、興味のある企業の先輩に直接話を聞ける。
特に、会社説明会のような場で聞きにくい質問も個別にしやすい(あまりぶっちゃけた質問はする前に一呼吸おこう)。
リクルーターもそれに応じてくれる。

2.エントリーから面接までのサポート

説明会に参加した学生やエントリーしてきた学生にメールや電話でコンタクトを取り、今後の選考を受けるように促す。
また、エントリーシートの添削や模擬面接といった、就活全般のアドバイスを含めてエントリーシートの書き方や面接の対策を行う。

3.学生の選別

実際に接触した学生の評価を付けて採用担当に報告する。
多くの学生がエントリーしてくるような人気企業にとっては、「事実上の面接」になっている。
企業によっては、リクルーターの評価が高いと、採用プロセスの一部をスキップするところもあるようだ。
知り合いの先輩がリクルーターとしてやって来たからと言って、本音をベラベラしゃべってしまうと危険。

以上、リクルーターは、会社の人間であるとともに学生の味方でもある。
結果的にその企業に入らなかったとしても、社会人の先輩と接触して仕事の話を聞いたり、アドバイスを貰うことはプラスになる。
同じ大学の先輩・後輩という点でも話がしやすい。
リクルーターと接触する機会があったら、是非接触しよう。

最初から絞り込みすぎない

自分の専攻は○○だから、この業界しか行けない。
自分の研究室の先輩たちが、△△会社や□□会社に就職しているから自分も△△会社か□□会社にしよう。
自分の専攻は××だから、この職種は無理。

就活では、最初から絞り込みすぎないことを強く勧める。
業界、企業、職種いずれもだ。
自分で可能性を狭めては勿体ない。
バリバリの文系の学生が理系の研究職に就きたいというのはさすがに無理があるのだが、例えば、文系の学生が多いイメージのある金融や商社は、理系も学生も採用している。
「文系就職」と言われることもあるが、文系の人たちと同じ職種(一般的には、この場合を「文系就職」と呼ぶと思われる)になるのではなく、理系の人向けの職種がある。
金融の場合は、投資アドバイス、アナリスト、トレーダー、これらはデータ分析、数学の知識が必要になる。
理系の職種なのだ。

思い込みでターゲットを絞り込むと、後々軌道修正がきかない恐れもある。
特定の企業だけに絞ってしまうと、それらが不採用になったときに、手持ちがなくなってしまう。
手持ちがなくなってからまた新しく企業を探し出すと時間的にも精神的にもプレッシャーとなる。

職種を考える際に、自分が何に興味があって、何がしたいか、何に向いているか、自分のことであっても即答できる人は少ない。
「○○がしたいから、きっとこの職種は自分は向いている」と思い込もうとする。
しかし、向いているかどうかは、結局はやってみないと分からないし、やってみてもすぐには分からないことも多いだろう。
何年か経って、この仕事は向いていると気付くこともある。
最初は考えもしなかった職種が実は天職というこもある。
残念ながら全く向いていなかった、何年か頑張っても変わらず、ということもある。
それはそれで仕方がない。
就活を通じていろんな職種を候補に考えた結果がそれであれば、後悔することは減るはずだ。

だからこそ、就活の最初から絞り込みすぎないようにしてほしい。

巷の適職診断、適性診断を受けてもよいと思う。
結果が正しいかどうかはさておき、「気付き」が得られる点で参考にはなるだろう。

インターンシップは採用と関係ある?

表向きは「インターンシップは採用に直結しない」となっている。
「インターンシップに参加=採用」ということはない。
とすると、確かに「直結」はしていない。
しかし、「インターン枠」がある企業は存在するし、明確な「インターン枠」がなくても結果的にインターンシップに参加したことが有利になることがある。

学生への周知、受け入れる学生の選別、実施期間中の現場の負担(社員によるフォロー)・・・と、インターンシップは費用がかかる。
企業はどういう目的でインターンシップを実施するのか?

PRのため

好景気のときはインターンシップの募集が増える。
学生が有利な状況下では、他社に学生を取られてしまう。
また、不人気職種はインターンシップの対象となりやすい。
不人気職種は学生が避けるからだ。
いずれもPRのためにインターンシップを実施する。

ミスマッチ防止

よく言われているが、「新卒で入社しても3年以内に3割が辞める」。
新人教育に費用をかけたのに、他社に逃げられたら丸損である。
「こんなはずじゃなかった」を減らしたいためにインターンシップを実施する。

青田買い

インターンシップに参加した学生は評価を付けられている。
費用をかけているのだから当然だ。
その際に、高評価の学生はその後に応募してきた場合は後押しがあるだろう。
逆に評価が低い学生は、応募してきても要注意扱いになる。

 

では、インターンシップに参加した学生が有利になる理由は?

話が具体的になる

インターンシップに参加することで、社員から話を聞ける。職場の雰囲気を知ることができる。
リアルな情報を知っているほど、話が具体的になる。
学生の語る志望動機はどれも似たり寄ったりである。
100%想像で語る志望動機より、30%のリアルが入った志望動機のほうが納得感がある。

熱意が伝わる

面接で「インターンシップに参加しました」と言って、悪い印象を持つ企業はない。
早い時期から興味を持っていたという熱意のアピールになる。
とはいえ、熱意だけではどうにもならないので、一番のメリットは「話が具体的になる」ことだ。

【要注意!】極悪インターンシップ

インターンシップに参加しようとする学生は、大なり小なり熱意があるのだと思う。
自分の場合は面倒で応募すらしなかった。

そんな学生の熱意を悪用して、「インターンシップ」と称して学生をコキ使おうとする企業がある。
インターンシップの場合は、給料が出ない又は、出ても日当1000円が珍しくない。
そこを悪用する企業があるのだ。
夏休みの期間中、倉庫で延々と荷物運びをさせられたり、商品の袋詰めをさせられたり、伝票入力をさせられたりする。
インターンシップと称して、バイトの代わりに学生をタダ働きさせようという魂胆である。

インターンシップに応募する学生と企業を仲介する怪しいビジネスもある。
怪しいブローカー経由で聞いたこともないような企業に応募するのは非常に危険だ。
仲介会社は学生に「無料で利用できる」ことをしきりに訴えてくるが、紹介料が企業から仲介会社に払われているため、学生は無料なのだ。
「紹介料」をどうやって回収するか?
それは学生をタダ働きさせて回収する。
「就業体験させてあげている」と企業に言いくるめられて、「就業体験させてもらっている」と学生が思ってしまった場合は悲惨なことになる。
何の役にも立たない作業を延々とやらされて大事な時間を無駄にする。

インターンシップに応募する際は、仲介会社を経由しないで自分で大手に応募しよう。
大手の場合は、過去の実績やどんなことをやるかをHPで説明してある。
それに大手の場合は、「下手なことをやるとSNSや2ちゃんねるで拡散する」という認識がある。
プログラム自体は無難な内容になるかもしれないが、搾取されてはダメだ。

インターンシップ制度

「インターンシップ制度」とは、学生が就業前に企業などで「就業体験」をすることである。
夏から春先にかけて行われる。
企業によっては、日当を払うこともある。

かつて自分が就職活動をしていた頃からインターンシップはあった。
その頃は概ね2週間が多かったが、最近は「1日」が最も多いと知って驚いた。
それは「就業体験」ではなく「セミナー」だろう。

数日以内で終わるもの・・・セミナー、見学
1週間程度で終わるもの・・・課題解決
2週間から1カ月かかるもの・・・職務実践

に分けられる。
本来は、「職務実践」があるべき姿だと思うが、どうやら少数派のようだ。
セミナーや見学の類は単なる企業のPRの場でしかない。

「課題解決」とは一体何をやるのか?

参加した学生がグループに分けられて、与えられた課題を解決するためにグループディスカッションをする。
出てきたアイデアをまとめて「○○グループはこう考える!」という結論を出し、グループごとに発表をして、社員が総評して終わる。
その企業の社員がグループの動きを見て、間違った方向に行かないようにアドバイスをする。
なお、建前では「インターンシップに参加したかどうかは採用には無関係」となっているが、社員は、学生の評価も付けている。
社員もヒマではないし、企業もお金をかけて開催するのだから当然だ。
これもセミナーや見学に比べればまだマシだが「就業体験」と言えるかというと怪しい。

職務実践

営業系の場合は、社員に同行してアシスタントをしたり、技術系の場合は、製図や調査の一部を担当したりする。
実際の仕事の現場に入って業務の一部を経験できる点では、インターンシップの本来あるべき姿はこれだろう。
この形式のインターンシップを行っている企業は実際は多くはないようだ。
企業にとっては、学生とはいえ、部外者を現場に入れるのは抵抗がある。
受け入れた部門も、学生を放っておくわけにはいかないので負担もある。
実際の雰囲気に触れられる点では、その企業や職種を希望する学生にとってはミスマッチを防げる。
気になる企業がある場合は、参加するメリットは十分にある。

企業研究について

企業研究は、その企業だけで済まさないようにする。
業界研究にも関連することだが、競合他社のことも研究しよう。
競合との違いを知ることは志望動機の裏付けに役立つ。
例えば、業界1位のA社を志望していた場合でも、A社は○○分野ではトップシェアだが、△△分野では業界2位のB社のほうが強いというケースがよくある。
とすると、「△△分野でもトップシェアと取れるようにしたい」というのは動機付けとして悪くない。
逆に、業界2位のB社を志望していた場合でも、「△△分野をもっと強くしたい」、「○○分野でトップシェアを取りたい」というのも動機付けにできる。
なお、上記のように他社との違いを志望動機に出さなくても、企業研究をしているかどうかは面接官は見抜ける。
ネットに書いてあるような小手先のテクニックでやり切ろうとしてもバレている。
いちいち指摘していないだけだ。

当初頭にあったのは業界1位の企業だけかもしれないが、企業研究をしていると、競合他社のことを知るとそちらにも魅力を感じることもある。
就職活動は、最初から業界や企業を絞り込まないことを強く勧めたい。
絞り込む理由は、大抵、業界・企業に対する「思い込み」である。
思い込みで自分の可能性を狭めるのは何とももったいない。

企業研究を行う手段は、
HP
業界地図、会社四季報などの書籍
OB・OG訪問
が挙げられる。
アルバイトで内部に入るという手もあるが、募集しているかどうかにもよるためイレギュラーだろう。
内部に入る手段としては、インターンのほうが有利だろう。
インターンについてはまた別の機会に。